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マレーシア航空、迷走 破綻処理の可能性も

2014年5月29日

マレーシア国営のマレーシア航空が経営再建に向けて迷走を続けている。もともと業績低迷が続いていたが、3月に発生した航空機消息不明事件が追い打ちをかけた。同国内では「破綻処理」をはじめとする複数の再建案が浮上するが、政権の支持基盤である労働組合は反発を強める。ナジブ首相は厳しい決断を迫られている。

■シナリオ1、破綻処理
第1のシナリオは破綻処理だ。ナジブ首相が語ったとされる「経営破綻も選択肢の一つ」との米紙報道が、株価下落のきっかけになった。96958A9C889DE5E3EBE1E7E1E7E2E0EAE2E7E0E2E3E6949497E2E2E2-DSXDZO7193539028052014FFE000-PB1-6
「最善策は破綻処理」。マレーシアの銀行大手CIMBは2010年に会社更生法の適用を申請して再建につなげた日本航空の例を挙げて指摘する。マレーシア航空の筆頭株主はカザナ・ナショナルという政府系投資会社で株式の7割を握る。

法的整理となれば株主には痛手だが、2つの意味で「身軽」になれる。一つは法的手続きに基づく債務の減免。そしてもう一つが従業員の削減を含む高コスト体質の見直しだ。

■シナリオ2、売却
第2のシナリオは国内投資家への売却だ。国営企業のままよりも、民間の経営で競争力を付けた方がいいという考え方だ。地元経済紙「エッジ・ファイナンシャル・デイリー」は、自動車大手プロトンを傘下に持つ富豪、サイド・モクタル氏らが関心を示していると報じた。一括売却でなくてもエンジニアリング部門などの中核事業以外の分離売却も噂されている。一部事業でも売却できれば、リストラ資金を確保できる利点がある。

だが、売却案ではいずれにしても現状のまま売却するのは困難で、従業員の削減などが条件になるとみられる。部門売却であっても現行の労組の規模縮小に直結する。同社の労組はこのほど「従業員の解雇につながる再建計画には断固反対する」との見解を示した。

■シナリオ3、政府が支援
破綻処理も売却も断念すれば、残された第3のシナリオは政府による資本注入しかないだろう。労組は受け入れやすく、事業も今のまま継続できる。ただし高コスト体質は変わらず、問題の先送りになりかねない。国の資金投入に対して、国民の反発もありそうだ。

労組はこれまでもエアアジアによる出資に反対して政府に圧力を掛け、資本提携の解消に追い込んだ経緯がある。立ちはだかる労組との交渉にどこまで厳しい態度で臨めるか――。ナジブ首相の決断が注目される。